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イッセイエッセイ

954号 ほととぎす今昔

2014年06月27日(金)

 最近、不如帰の声を、家近くで聞いた。ここ数年同じような季節に近所でこの不如帰の声を聞いている。
 「ほととぎす」の声を待つことに平安時代の 歌人たちがなぜあれほどこだわったのかを思うとき、われわれ現代人としては不思議な気持になる。特異な声で夜中にも鳴くということが、宵っ張りの平安貴族 の特別な関心をひいたのかもしれない。そういう伝統文化を思って聴くと又味わいが深くなる。
 そうしたところ、きょう、「音の風景」という昼のラ ジオ番組を聴く機会があった。四万十川の上流の森、豊かな原生林の残る森に夜の帳が下りた後に鳴き出す鳥たちの聲を録音したものである。SLがゆっくり走るときのようなボッポ、ボッポという単調な音をつづけるツツドリ(カッコウやホトトギスの仲間と解説)やピョッポ、ピョッポという木ノ葉ヅク(ブッポウソウ)、ボホー、ボホーというミゾゴイ(絶滅危惧種)、ピピーチィチィチーとクリアで美しい声のジュウイチ(これもカッコウの仲間)も混じっている。いづれも楽しんで声を出しているのではなく、夏の「繁殖期」を迎えて夜の番人たちの雄の必死のアピールという説明である。
 このことから、大昔は都の内でも夏の夜になれば、きっと鳥の声も今と違って物すごく沢山あったのだろうから、その中でもやはり不如帰は格段に特異な声をしていることに思いが至った。物のあはれを趣すような調子ではないが、当時としては、いとおかしき方面の声であったのかと想像してみた。

(2014.6.26 記)