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イッセイエッセイ

952号 現代の方丈記

2014年06月06日(金)

 都道府県会館があるブロックの隣の角地に営業をしていたMcDonald’sの建物が解体中である。はじめはよく見かける赤と黄色の建物のマクドナルドであったが、途中からなぜなのか黒塗りの外壁になり、今回このようなことになった。一度も入ったことはないのだが、こういう性質の店舗はどの程度の寿命があるものなのか気になった。十年ちょっと商売をしたようだ。売れなかった場所というより、人を求められなくなった場所ということなのか。
 都道府県会館も以前とは姿のちがう建物に改築されてもう15年以上は過ぎ、道をはさんだ赤坂プリンスホテルも昨年に撤去され、由緒ある旧館だけが建物ごと道の近くに移動されて、記念館のように残っている。この旧館の思い出は、昭和43年に役所に入ったとき、政務次官による昼食会があったことだ。あいだの道は麹町から赤坂見附に出る坂道になっており、諏訪坂という説明の柱が立っているが、江戸の頃はどんな坂道だったのか。きっと辻漸りにでも逢いそうなさみしいところであったろう。
 東京都の「江戸東京博物館」を入ると正面に、代表的な大名の江戸藩邸が展示されており、実物の何十分の一かにした建物である。これは福井藩の上屋敷の姿を模して作ったという説明であり、その規模においても様式においても、極めて立派で豪華な建造物である。その建物から想像して、この赤坂見附辺りにも大きな大名屋敷があったと思われるが、日本の木造建物の宿命として天災・人災によって跡形もなく失われ、往時の面影は全く感じることができない。ヨーロッパの市街地を見物するにつけ、日本の文化は根本において、残念な性質をもっていると思うのである。

(2014.6.6 記)