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イッセイエッセイ

949号 田舎ぐらし

2014年06月02日(月)

 朝のドラマ「花子とアン」の今日は、主人公の安東花子が児童文学の懸賞の特等に選ばれるというエピソードであった。
 花子は幼い頃から「はな」と呼ばれるのが嫌いであった。小説の筆名をせっかく花子にしたのに、掲載された雑誌には「安東はな」となっている。受賞式に主人公が甲府から上京し、将来結婚することを予感させる村岡印刷の息子に、原稿通りの名前になっていないことに苦情を言うのである。

 大正のはじめの時代に「子」とつける方がハイカラだったのかどうかわからぬのだが、「花」より「花子」の方が格好よかったと思われていたのであろう。現在とは女性の名前に関する印象が逆になっている。この名前を巡るエピソードは、TVドラマのもとになった「赤毛のアン」のアンが、自分の名前をAnnではなくeのついたAnneであることを、たえず強調する筋書きをパロディ化したものであろう。
 この二か月のドラマを見て感じることは、物語が東京でのことになると面白くなり、田舎の甲府に戻るとやや陳腐になるということである。ぽっと出の田舎者が都会に出て、はじめはとんちんかんな振舞いをするのだが、だんだん実力を発揮して結局は都会人に打ち勝つ構造が、痛快感と愉快さを与えるのである。かつまた、このことは田舎での話しが面白く作れないのではなく、当時は田舎そのものがかなり退屈な場所であったせいなのかと思うのである。

(2014.5.24 記)