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イッセイエッセイ

941号 英語動詞の勢力

2014年04月09日(水)

  bear、join、reduce、establish、face、choose、wish、achieve、drive、deal、place、seek、fail、serve、end、occur、kill、act、plan、eat、close、belong、represent、love、rise、prepareを英和辞書で読む。もうこの辺の頻度150番近い動詞は、辞書の4分の1頁ほどしかスペースを占めていない。loveなど世の中では言葉としては頻用されていながら、辞書上の用例は貧弱であり説明は、30行もない。
 要するに英単語の動詞は、一つひとつ固有のパワーを持っていて、それには差異があるのである。

 われわれが英語を学ぶには、英文法の最小限の知識はぜひとも必要であるにしても、英語を「話す」という点からみて、よく使う「動詞」の知識が重要なポイントになると思われる。教室では、こうした指導意識をもって授業は行われていないのではないだろうか。

 ある本(「ドクター・ヴァンスの英語で考えるスピーキング」 第921号参照)によれば、英語の最頻出250種の動詞(これはイギリスの国家言語資料を参考にしたもの)は、(1)のbe、(2)have(3)do(4)say(5)go(6)get(7)make(8)see(9)know(10)take・・・(20)work・・・(30)call・・・(40)start・・・(50)believe・・・(100)create・・・(150)discuss・・・(200)assume・・・(245)protect(246)confirm(247)mark(248)imagine(249)travel(250)demandとなっている。

 辞書には、よく使われるhave、get、take、あるいはcatch(なぜか重要度の順位が低くなっている)など、所有にかかわる、モノを持ったりとらえたりする関連の動詞(単語)に説明用例の分量が多い。
 辞書の説明は昔に比べてずい分改善が加えられているが、しかしまだまだ英文解釈的になっている。つまり文法書に近く有益なものではあるが、微妙な単語相互のニュアンスの違いなどが解説されているものの、会話において瞬発的に使われるような例文が少ないので、日常的な聞き取りや話し方に役立てるには、必ずしも現行の辞典は改善の余地がある。すなわちIとyouとの間における行動や心情についてのやりとり、外界の事柄を簡単かつ客観的に叙述したりする例文がもっともっといる(やや要求のしすぎか)。

 また、英語の動詞は、辞書の説明では、意味の「くだけ度」もさまざまであり、例えばintroduceはpresentより「くだけた語」であるという説明が入っている。またgiveはoffer、present、contributeより「口語的」という説明もある。逆にいうと単語としての「堅苦しさ」に違いがあるわけである。また意味の強弱もあり、たとえばcommand>order>direct>instructの順で強弱なのである。意味のほとんど異ならない単なる類語も、最近の辞典にはさまざま載せてくれている。
 問題は句動詞(イディオム)なのである。辞書の説明では自動詞的、他動詞的という区分をしているが、文法的にみてその境界がどれだけ判然としているのかは、比較してみても分らないような句動詞も多い。
 こんな風に辞書を読んでいくと、基本語の説明のところで出てきた関連する他の動詞の頁に行ったり、さらにそこに出てくる目的語の名詞の意味を調べるため、その単語のところへ飛んで行ったりする。イモズル式に言葉をたどって行く始末になり、重要動詞をできるだけ早く読み終るという最終目標になかなかたどりつかないのである。結局250語を読み終るのに、1月中旬から3月下旬近くまで到々かかったのである。

 もう一度最初の関心にもどって、英和辞典は「引く」ものなのか、それとも「読む」ものなのかという問題である。むろん辞書は必要に応じ引かなければならないだろうが、たまには読むことが大事ということである。とくに重要動詞がそうであり、そのほか代名詞、前置詞、また最頻出の副詞などは、読むことが必要ではないか。辞書を作った学者も重要動詞などに関しては、一定の体系の下に詳しい説明をしているのであり、これが易しい単語だからといって、断片的にその動詞の熟語だけを調べるために使われるのは、編集者として本意ではなかろう。1つの単語の全体をすべての用例を赤鉛筆で塗り、その中にある関連動詞は青を付して読むことによって、その単語の鳥瞰が得られるのである。いろんな場面でその英単語に出会ったときでも、意味と用例の地図ができているので理解に自信がつくというものである。
 ちなみに、動詞の中で辞書が一番に頁を使っているのは、getである。大修館ジーニアスでは5頁を占めている。

(2014.3月~4月上旬の記)