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イッセイエッセイ

918号 神谷美恵子の生誕100年

2014年01月20日(月)

 今年が神谷美恵子(1914-1979年)の生誕100年に当ることを日本経済新聞の「文化」欄で知る(2014.1.8)
 瀬戸内海のハンセン病療養所「長島愛生園」で共に働き、その出会いによって人生が変ったという高橋幸彦医師(大阪精神保健福祉協議会会長)が、神谷美恵子の横顔を紹介している。美恵子の蔵書は遺言にもとづき高橋氏が理事長を務める茨木病院の一角に置かれているとのことである。
 ここでこの「病苦の心支え共に歩む-ハンセン病患者に寄り添った神谷美恵子・生誕100年」の本筋とはやや離れ、この文章の中に書かれている神谷美恵子の日常的な生活の様子について小生の関心のある部分を抜すいする。
 「数カ国語が堪能で、世界の哲学や思想、文学の古典にも通暁した教養人。でも主婦の本分を失わない。買い物籠にいつもメモ用紙と鉛筆を入れ、思いついたことはすぐにメモし、家事を済ませた後で整理していたという。阪大時代は料理を作ったり育児をしたりする合間に勉強していたようだ。『私はながら族のはしりよ』と言っていた。文字通り寸暇を惜しんで書いたものだと思う。」
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 以下は上記とは全く関係はないが、彼女が翻訳した「自省録」を読み返し、最近の気分に合うところを便宜記してみた。
 神谷美恵子訳 マルクス・アウレーリウス「自省録」(昭和31年岩波文庫)から
・公益を目的とするのでないかぎり、他人に関する思いで君の余生を消耗してしまうな(3章-4)
・「自分は損害を受けた」という意見は取り除くがよい。そうすればそういう感じも取り除かれてしまう(4章-7)
・これは不運ではない。しかしこれを気高く耐え忍ぶことは幸運である(4章-49)
・つねに近道を行け。近道とは自然に従う道だ(4章-51)
・君が自分の義務を果たすにあたって、寒かろうと熱かろうと意に介すな(6章-2)
・ものの内部を見よ(6章-3)
・人生は短い。地上生活の唯一の収穫は、敬虔な態度と社会を益する行動である(6章-30)
・他人のいうことに注意する習慣をつけよ(6章-53)
・人に助けて貰うことを恥ずるな(7章-7)
・人生において、初めのものはあとからくるものに間もなく覆い隠されてしまうことを考えよ(7章-34)
・現在の時を自分への贈物として与えるように心がけるがよい(8章-49)
・人類はお互い同志のために創られた。ゆえに彼らを教えるか、さもなくば耐え忍べ(8章-59)
・高処から眺めよ(9章-30)
・悲しみというものがひとつの弱さであると同時に怒りもまたしかり、すなわち双方とも傷を受けることであり降参することなのである(11章-18)など。

(2014.1.12 記)