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イッセイエッセイ

896号 12月のこと

2013年12月16日(月)

 十二月という月は、冬休みやクリスマスそれにつづいて正月が一緒にやって来る。一年のうちでこの季節の喜ばしさや思い出は、ぼんやりした記憶の中でも、他の時期よりも数多く鮮やかに残っている。
 冬の曇天の間のつかのまの天気、暖かい日ざしの昼下がり、図書館の出口で子供の姿を見たような時、形にならないままこうした思い出が気分のような状態でふと心に浮んでくる。そして嬉しいような懐かしいような、しかし一方で年月が永遠に過ぎ去ってしまった残念さのような心持になり、しかし結局は好ましい気持に落ち着く。

(以下は余分。)こんな気分で歩いていたとき、女の子の父親に声をかけられ、三年生だというその子と握手をした。その二人は今あったことを何か話しながら、図書館の方へ去っていった。その時、子供のころ全く読めない漢字の多い本をクリスマスにもらった記憶がよみがえった。読むにも読めない本の最初で最後の記憶であった。小学1、2年の頃のことであったか、その本はいったい何の物語であったのだろうか。
 足羽山の木々はすべて茶色に変って最後の紅葉の姿であり、これから凩と雪を待つばかりである。

(2013.12.8 記)