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イッセイエッセイ

895号 コトラー先生と婚活

2013年12月16日(月)

 今月の「私の履歴書」は、経営学で有名なかのフィリップ・コトラー先生であり、その第5回の今日の紙上では、妻ナンシーさんとの出会いについて書かれている。彼が夫人を射止めるには、パーティ、ダンス、ヨットの三つの道具が必要だったようである。コトラー先生のいう経営学の4P、プロダクト(製品)、プライス(価格)、プレイス(流通)、プロモーション(宣伝)とは多少ちがう手段である。
 コトラーは、マサチューセッツ工科大学に在籍中に夫人と出会った。場所はハーバード大学のラドクリフ・カレッジ(女子部)の学生寮で開かれた「ジョリーアップ(お楽しみ会)」であった。ジョリーアップとは「恋人にふさわしい男性と出会うために女子学生が開くパーティ」のことのようである。いまもあるのかどうか。
 彼は黒髪と黒い瞳の美しい女性に「ダンス」を申込み、意を決して告白し、恋愛が始まったという。
 そして、「ヨット」に乗りませんかとデートに誘ったのである。しかし、一度もヨットに乗ったことがなかった彼は、一夜漬けで勉強するものの結局、沿岸警備隊に岸まで曳航される羽目になる。そんな状況でも彼女は大笑いをして始終を楽しんだ。
 コトラーは当時のことを、婚活市場を効率化する今どきのインターネットの恋人紹介サービスのような手助けもないのに、将来の妻と巡り合えたのは不思議なものだ、と振り返っている。偶然見かけたポスターのおかげで始まった恋愛は、今につながるすばらしい結婚になった。
 コトラーは、人生を共にするのにふさわしい人を見つけられるかは運にも左右され、婚活市場はこの世で最も効率の悪い市場と考えている。しかし今や不完全な市場も様々な紹介サービスが台頭してきたことで情報や選択肢が豊富になり理想のカップルの誕生も不可能ではなくなったと考えているようだ。
 結婚には嫁入道具ではなく「道具」がいる。いまの日本ではそれが何か。

(2013.12.5 記)