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イッセイエッセイ

877号 花の名前

2013年10月11日(金)

 廊下を通るたびに、鉢に植わっている小さい八ツ手のような観葉植物に目をやって、昨日から教えてもらった植物の名前をそのたびに唱えている。
 今朝で5回目である。とっさに名前が出てこないので、言葉に勝手に意味をつけて、この観葉植物の名前を頭の中で構成し直して、繰り返すのである。私の「モン」、星の「ステラ」、「モンステラ」と口の中でリハーサル的に言ってみるのである。もっとも、この訳は果して正しいのかもあやしい。しかし、このドリルを何度行うと、この青いワカメのような葉っぱの植物の名前が、自然に口をついて出るようになるのだろうか。

(2013.10.6 記)

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 いま真っ盛りに花をつけ、麗しい香りを庭だけではなく部屋の中まで漂わせてくれる金木犀であるが、この花の名もすぐに言葉にならないことがある。全く似ても似つかぬ來竹桃や木槿、花水木だとかいった花の名を、頭の中で一瞬ごちゃごちゃさせた後、ようやく花に向ってキンモクセイと花に向って呼びかける自分の脳味噌の動きを感じる。
 もう花も散り丸い実のようなものが見える・・・サルスベリのてっぺんに、鵙が朝の9時すぎに二度ほど現れて、その後は見えなくなった。なぜか蛙の大きな乾いた声が何度かする。モズに気をつけよ。田んぼが又減ったためか今年は庭近くに蛙の声がよくする。きょうはマラソン大会の救急車の音もよくする。秋の大空は鱗雲の形がだんだん崩れてぼんやりとして、雲の量が広がってゆく。
 鵙のやつ朝日にいつも正対す
 図書館を出ても同じく秋うらら

(同 昼前)


 そのあと、きょう植物の前を通るときにもう二、三回モンステラと口に出しているうちに、ようやく連続した言葉になり、さらに今日は大体ふつうに言えるようになった。しかし、いつまで記憶として再現できるかどうかあやしい。

(2013.10.7 記)