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イッセイエッセイ

847号 希望を心に

2013年08月01日(木)

 「希望学 あしたの向こうに」(東大出版会、448頁、2100円)が、先週末(7月26日)に出版されることになり、玄田有史教授(東大社研)が、広報のため羽田野准教授(福大)と来訪された。黄色い暖かい色の表紙であり、目玉二つが横をにらんだマークが印刷された同著をいただき、希望について懇談をした。
 希望学は、東大と福井県との共同調査として2009年から4年間続けられ、本書は経済学、政治学、歴史学などの研究者40人あまりの人たちが福井をフィールドにアンケート、ワークショップ、聞き取りをさまざまな分野で行ったものである(福井新聞に連載された)。暮らしやすさ、幸福度が上位の福井県の「希望」について、多方向の角度から掘り下ることを目的としたものであり、研究者による27篇のエッセーとQ&Aが入っている。
 特定の地方で「一斉に調査する例はなかなかない」、「若い人たちが希望を考えるヒントになれば」、「子供たちが福井の伸ばすところ、問題なところを自覚することが大事」と玄田先生は記者に語った。
 希望学のキーワードの一つは、ウィーク・タイ(ゆるやかな結びつき)であるが、教授は「言葉に出すこと」が大切だとも談話中に述べられた。
 この本がたくさんの人に読んでもらえるよう、まず同夕に催された内外情勢調査会の講演会でも紹介をさせていただいた。

 ところで売れる本の条件は何かというのは難しい問題だそうで、(1)ターゲットとなる読者をはっきりさせている(誰にでも読んでもらうというのではない)、(2)何が書いてあるのか一言で答えられる本である、(3)こだわって書かれ、しかし書き方がいこじではないこと・・・らしいのである。

 希望という言葉は、聖書にもマキャベリの書物にもあるキーワードである。ここでの希望という言葉はずいぶん意味が離れているように思われる。
 「運命の胆は一向分らぬもの、人知れず間道を抜けてやって来るものなのだからで、従っていつも何かしら『希望』をもっていなければならないことになる。この『希望』があればこそ、人間はその身がどんなであろうと、ふりかかる災いに苦しめられようとも、断じて我と我が身を見限ってはならぬものなのである。」

 (マキャベリ「ローマ史論」2巻29章<運命が人間の心を盲にするのは、自分の書いた筋書に外れたことをさせたくないと思うときである>より)

(2013.7.28 記)