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イッセイエッセイ

828号 レバノンのハリール・ジブラーンの詩

2013年06月30日(日)

 君は一つの死体をかついでいる小さな魂にすぎない
(アウレリウスの自省録4-41から、神谷美恵子・訳、岩波文庫)

 レバノン生まれの詩人であるジブラーン(1883-1932年)の詩について神谷美恵子(1914-1979年)が訳出し感想や説明を加えた「ハリール・ジブラーンの詩」(角川文庫、平成15年)という本を一読した。
 そして更に以下に、その詩の一部を抜いてみた。
 ローマ皇帝マルクス・アウレリウスはキリスト教以前の時代のストア派の哲学者であったが、この詩人の心は聖書の感化の中にある。愛を感じたときに人間は詩人になる、とプラトンが語ったといわれているが、詩の源泉は何であろうか。

(おお地球よ)
 ・・・・・
 なんと寛容なものであることか、地球よ。
 私たちはあなたから元素をひきぬき、
 大砲や爆弾をつくるのに、あなたは
 私たちの元素から百合やばらの花を育てる。

 なんと忍耐づよく慈悲ぶかいことか、地球よ。
 あなたは神が宇宙の東から西へと旅したもうたときに、
 み足のもとに舞いあがった(ちり)一粒(ひとつぶ)でもあろうか。

(花のうた)
 ・・・・・
 朝がくると
 わたしとそよ風は手をたずさえて
 光来たれり、と宣言する。
 (ゆうべ)には鳥たちとわたしは光に別れを告げる。

(結婚について)
 ・・・・・
 互いにあまり近く立たないように。
 なぜなら寺院の柱は離れて立っており
 (かし)や糸杉は互いの影にあっては育たないから

(子供について)
 ・・・・・
 あなたがたは彼らのからだを宿すことはできるが
 彼らの(たましい)を宿すことはできない、
 なぜなら彼らの魂は明日の家に住んでおり、
 あなたがたはその家を夢にさえ訪れられないから。

(死について)
 ・・・・・
 もしほんとうの死の心を見たいと思うなら
 生命(いのち)そのものに向って広く心を開きなさい。
 なぜなら川と海とが一つのものであるように
 生と死は一つのものなのだから。

(2013.6.24 記)