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イッセイエッセイ

812号 幸せの影

2013年05月10日(金)

 福井県は日本の中でいちばん「幸せな」県であるという研究がある。さらに幸福の先の希望とは何かについて、われわれは東京大学と希望学プロジェクトを4年間続けており、また十三県知事ネットワークでは政策面での実効性を研究し始めている。
 幸福や希望は人間である以上、だれひとりとしてこれを願わない者はなく、山のかなたの空遠く青い鳥をさがすように、たえず求めてやまないのであるが、政策的に扱って行こうとすることは相当の難題といってよい。
 ブルーノ・S・フライ著「幸福度をはかる経済学 2008年」(白石小百合訳NTT出版2012年)を一読した。最近、経済学と心理学との新しい結合による研究が進んでいるとのことである(効用・選好という伝統的な心理学ではない)。この本にはさまざまな調査やアンケートの結果が使われており、たとえば地方自治(分権)が十分に達成される場合ほど、幸福度が高いというようなことも書いてある。
 人間の性向がどういうものなのか、「幸せ」とは何んであるのか等の学問研究を深めるにつれて、だんだん究極のものを求めることになって来る。しかしこうした「幸せ」を頭の中で思考することはできても、直接そのものを見極められないのである。結局われわれのできることは、物を通して作られる「幸せ」の影をできるだけはっきりとらえることではないかと思うのである。

(2013.5.9 記)