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イッセイエッセイ

811号 単調さについて

2013年05月10日(金)

 人間の不幸というものは、みなただ一つのこと、すなわち部屋の中に静かに休んでいられないことから起きるのだ(パスカル139)。

 休み時間にラジオ体操をしながら思う。ほぼ毎日、同じような時間に同じような動作を同じ順序でしていることが、どういう意味があるのか、何のためか、面白いのか、と軽く思っている自分の心に気づく。
 窓外の山々の新緑は、知らぬうちに四月の鮮やかさを失って夏の山へと変化し、見るごとに日々同じようでいて同じではない。空の雲に至ってはとくに今日は動きが激しくて、体操をしている間にも灰色の固まりがどんどん山の向うから湧いてくる。
 何一つ同じではないのだが、我が心だけが見かけにとらわれて単調さや退屈さを感じ、部屋の中で同じことをしていることを嫌って疑問を投げるのである。
 そう思いながら一方で、毎日特別に変ったことはそんなに多くないだろう、そのほか大体のところは食べたり眠ったり同じようなことを繰り返しているにすぎない、と思っている我が心なのだ。
 そしてこの毎日の同じようなことが、突然何かの事情で実際できなくなったり、あるいは不可能になると想像するような場合には、この単純で同じようなことが、つまらないことではなく大事なことなのだと思うのである。

(2013.5.1 記)