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イッセイエッセイ

803号 作文・スピーチ・演説

2013年04月21日(日)

 今日の「今週の本棚」(2013.4.14毎日新聞)の小さい欄に、フィリップ・コリンズ著「成功する人の『語る力』」(東洋経済新報社)についての簡単な書評が載っていた。関心があるのでそこに目が行った著者はブレア首相のスピーチライターもしたタイムズ紙のコラムニストとのことである。
 スピーチの要点は頭文字で「DETAIL(細部)」の六つのキーワードがあるという   効果的な話し方(dialectか)、期待される内容(expectationか)、中心となる主張(themeか)、聴衆について情報(audienceか)、自分の個性(identityか)、使う言葉(languageか)。さらにスピーチには、「情報の提供」、「聴衆を説得する」、「刺激を与える」の三つの機能がある、ということだ。著者はアリストテレス、キケロー、喜劇俳優、政治家らの演説を分析し、共通するテクニックやルールを導き出している(という。読まないとわからない)。
 チャーチルやキング牧師の演説には「繰り返しの技法」が使われているということだ。同じトピックでも別の表現にすると聴衆は新しい話を聞いたような気になるとのことである。
 以前に紹介したことがあるのだが(「話すことについて」321号2008.5.18)、キケローが「弁論家」の中で著している内容と書評が伝えるコリンズ氏の主張が、どこか共通しているような気がした(が、読まないとわからない)。
 この本では、作文(ライティング)と演説(スピーチ)について論じているようだが、書評を離れて経験による感想を述べるならば、両者はかなり性質のことなる行為である。後者の演説の方は、目の前に明らかな聴衆がおり、限られた時間の流れの中で話をしなければならない、内容はおおよそであること、話の巧拙と頭の中とは関係が弱いこと、厚顔が幅をきかしうること等。つまり演説は一種の演技の性質をもつということである。

(2013.4.14 記)