西川一誠後援会サイト

イッセイエッセイ詳細

イッセイエッセイ

782号 日和山とか目印山(つまり里海の里山)

2013年02月27日(水)

 きょう日曜日の「編集手帳」(読売)―<日和山(ひよりやま)>と名がつく山は日本に10か所ほどもあるらしい―と書き出している。石巻市にあるこの名をもつ山(標高56mの安全な高台の公園)から園児の乗ったバスが、地震直後に園に戻ろうとして津波に遭い、このことに対し裁判が起されたという話の書き出しの部分である。
 わが福井県にもこの種の山があるのかどうかは、調べてみないとわからない。日和山は文字通り民謡にもあるように、港町の漁師たちがいつもこの山に登って出港すべきかどうか決めたことが名の由来だろう。若狭でいうと青葉山のような山は日和の山であろうし、里海に臨んだ里山とも呼ぶべき神聖で頼りになる山であるはずである。
 30年近く前に勤務した県は、瀬戸内の海に面していた。あるとき小舟で(あじ)を釣りに行ったことがある。海上のしかるべき場所近くまで来ると動力を止め、船頭はしきりに遠方の山の様子を目視しながら手こぎで船を操りはじめた。そうすると舟近くの海面が突然盛り上がって、バシャバシャ音をたて沢山の鯵が群れながらハネはじめた。この場所に魚が寄せて来たのか、もともと集まっていたところに舟が着いたのかは分らなかった。ともかくその時ときは釣糸を垂れて引き上げる繰り返しに忙しく、大事な瞬間に糸がもつれて混乱したのである。あとで船頭に聞くと、遠くと近くの山と山との重なりを確かめて、魚場の微妙なポイントを見つけて近づいたということであった。このような熟練の技に使われる山は、日和山であったりまた別の役割をもった目印山なのだろう。

(2013.2.24 記)