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イッセイエッセイ

775号 互いの速さを知る

2013年02月15日(金)

 高速道路を車で走っていて思うのだが(このことをよく思うので、以前にも書いたかも知れない)、互いスピードを上げて疾走している車と車は、相対的な速度差が少ないために、追い抜く時も実にゆっくりとしか見えない。
 サービスエリアにいったん入って、先程の高速道上を走りゆく沢山の車を離れて眺めると、そのスピードは実に恐るべきものである。もし同じ実感を持ったまま再び高速道で走ろうとすれば、運転には自動車レーサー並みの神経と心臓が必要だと思えるほどである。幸いというか不幸というか、そうした速度感は身には感じないので、また何気なく高速道上の車や人となるのである。
 こうして我々は、自分の動きと速さとの比較においてしか物の速さや変化の様子を感じない。そのため視界が狭くなったり或いは遠くの速く動くものに注意が向かないときは、互いの運動の変化量を意識しないまま現在の運動に身をまかすことになる。このことは速い場合に限らず、遅くゆっくりとしている場合にも当てはまるのであって、自分たちに関係する運動については、できるだけそれらの動きと遅速を知らなければ危機なのである。
 雪片の互い見ながら落ちゆける。小雪ふる空にトンビの上りゆく。

(2013.2.14 記)