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イッセイエッセイ

772号 記念することについて

2013年02月12日(火)

 二月は二月七日の「ふるさとの日」がある「ふるさとの月」である。
 古い記憶が、次々と新しい記憶に打ち消されてゆき、いわば記憶の群が遺跡や地層のように積み重なって、過去に起った何かや誰かがした何かなどが、まるで無かったかのように忘れてゆく。
 われわれの記憶そのものが、元々それほど強い力をもっている訳ではなく、記憶力という立派な名前が付いてはいても、大事な時にはいつも期待外れの能力なのである。
 何かについて憶えていても、その何かを誰が言ったのかは憶えておらず、いわんや何故そうであったかなどは、めったに想い出すことができない。又あっという間にこの何かについても忘れてしまう。
 そのため過去の出来事については、人間の感謝と親切の心によって報われることもあるにしても、多くは忘恩や厚顔といった望ましからざる状態のまま放任される。
 このようなことであるから、自他ともに知らないまま風が変るように、信じ合ったりあざむき返したりして気にならないのが世のならいである。

(2013.2.3ふるさとの月 記)