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イッセイエッセイ

753号 スーパー女性

2012年12月23日(日)

 今日の日曜日、日経新聞の文化欄に連載中の「欧人異聞」には、「驚異のスーパー王妃アリエノール」という女性が登場している。
 「疑いもなくヨーロッパ中世でもっとも勇敢なスーパーレディである」と樺山紘一先生(西洋史家)は述べておられる。以下その文章。

 フランス南西部のアキテーヌ、ガスコーニュ地方を所領した貴族の娘だそうである。フランス王となるルイと十代前半で結婚、十字軍に夫婦で遠征する。離婚後、こんどはアンジュー、ノルマンジーを領する貴族アンリと再婚。このアンリはすぐにイングランド王(ヘンリー2世)となったため、わずかの間にアリエノールは再度王妃となる。血族入りみだれる英国王朝の権力闘争の中で、十五年の軟禁生活も経験しながらも粘り強く強い精神で生きぬく。彼女はマグナカルタで名を残したジョン王の母でもある。映画や芝居にもよく登場するらしい。

 アリエノール妃は12世紀中期の女傑であるが、奇しくも同時代の本邦でも同じような美貌や武勇、あるいは才知にたけた女性が出ている。木曽義仲の妻であり後に和田義盛に嫁いだ巴御前、あるいは頼朝の妻となった北条政子など。
 そのほかにも、勇ましく大胆で心意気をもった女傑は沢山いたはずである。モンテーニュの「随想録」であったかマキャベリの「ローマ史」であったかに出てくるのであるが、痛快な点ではルネサンス期、ある婦人の話しであろう。立て籠る城からの脱出が、慈悲をもって女と子供だけは身回りの品と一緒に許されたところ、何とその女性は、自分の夫の隊長を肩車にして運び出すのである。その姿を見た敵方将軍は、婦人ながらに天晴れの振舞いに驚き、包囲をといて見逃すことになる。婦人は必死の目的を果たしたのである。

(2012.11.25 記)