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イッセイエッセイ

742号 政治を深く(一票の格差)

2012年10月30日(火)

 今朝の新聞には「参院選の一票の格差が五倍以上となり違憲状態」と最高裁が判断をし、政治が「漫然放置」と報じている。
 しかし、改善されないまま放置されているものが本当は何なのか、ということをこの際考えてみることは重要であると思う。
 まず最高裁の判断は、ある大都市部の選挙区(神奈川)の有権者数と田舎の選挙区(鳥取)の有権者数の相互の格差が五倍となり許容できぬ程度の比率であるというのである。
 しかし考えるべきは、このことの本当の意味である。これを訴えた人たちの切実な不信と訴の利害得失の源が一体何であり、どこから由来するのであろうか。
 「党利党略や議員の保身」のために、格差を是正しようとしない政治家の怠惰に対する告発なのであろうか。それともこの格差自体に対する弁護士的な義憤つまり法の下の平等違反を主張しているのであろうか。もしそうであるならば、遅きに至ったとはいえ、選挙区の線引を変えて定数が増減されれば、憲法上の問題が解決して不満もそれなりに納まってしまうかもしれない。
 しかし更にしかしである。このような論理で果してこの問題の話しが済むのであろうか。というのも、一票の格差そのものがなぜ不断に発生するのかを問題とすべきであり、これを改善するには裁判行為だけで足るとは言えないからである。
 毎度のように繰り返される訴訟と一連の議論をみても、議論の射程が司法の領域に止っており、政治が本当に何をなすべきかについて、深く思慮が及んでいるようには見えないのである。
 自著「政権交代」(中公新書2012年9月)の中で、小林良彰教授は、「本来の意味では『一票の格差』を是正するならば、文字通り人口の格差ではなく一票の格差こそ是正すべきである」(同書189頁)と、選挙改革案の1項目として提唱しておられる。投票率の問題もあるということなのである。
 さらに、以下の文を参考に付する。2012年10月24日福井新聞のコラム記事。

『「国土構造のゆがみ根底に」1票の格差で知事

 衆参両院で問題となっている「1票の格差」について西川知事は23日、裁判上の違憲状態を解消することは重要とした上で「国土構造のゆがみが根っこにある」と指摘。地方から都市部に人口が流出する状態を是正しない限り、根本的な解決にはならないと持論を述べた。定例記者会見で、小選挙区定数の「0増5減」を検討している国会の衆院選挙制度改革に対する見解を問われて答えた。最高裁は2009年の衆院選、10年の参院選ともに「違憲状態」と判断している。知事は大都市に人口が集中する現状を変えなければ定数の変更は続くと指摘。結果として「田舎に対する政治が不十分になり、悪いアンバランスが起きる」との見方を示した。東日本大震災の教訓や将来予想される東南海・南海地震などに備える観点から「大都市と地方の人口を再配置する政策を考えないといけないが、(国政は)そこまで考えが及んでいない」とし、単に人口比から定数のあり方だけを議論する現状に疑問を投げ掛けた。』

(2012.10.18 記)