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イッセイエッセイ

697号 一長一短

2012年03月28日(水)

 あらゆる物には長所もあるが、それ特有の短所や不都合もある。良い物を選んだと思っても、意外と欠点が目立って、前の物と大差ないことを感ずることがある。こうした実際は、眼の前の物への不満は現実的なものであり強く感じるが、今はない新しいものの方は観念の中にだけ在るので、もっと良いものではないかと想像しがちなのだ。
 ここで敢えて、全くささいな物を例にとってみる。机上にある紙でできた小さい付箋の使い勝手についてである。いまの世の中は便利であり、事務用品の規格やデザインもバラエティに富んでいる。例にあげる付箋も、長さや幅の種類は沢山に出揃っている。本を読んでいる際に、傍線を引くというわけにはいかないので、その箇所に付箋をはる。
 市販の最も小さい規格の付箋は、幅0.7cm、長さ2.5cmの小指の先ほどのものである。これは頁に付けてしまえば、大きい付箋よりもあとの処理が便利である。しかしながら、巧く付けるまでが意外とやっかいである。小さすぎて筆記用具を並べたケースのどこにまぎれ込んだか分からなくなり、そのたびに捜し出す始末である。さらに付けるときに冊から一枚ずつ剥がすのがとても難しい。結局、最小の物と次の大きさの物との便利さは、比較において思うほどの違いではない。結局、一長一短であり大差のないことがわかる。こうしたことは、他のまったく違った物や人、場面であってもよく似たことが起こることを体験する。 

(2012.3.24記)