西川一誠後援会サイト

イッセイエッセイ詳細

イッセイエッセイ

679号 都市の未来

2012年02月23日(木)

 今日の読売新聞(2012.1.9)の特集に、「都市の未来」という論点スペシャルが載っている。
 (1)まず市川宏雄教授(明大、森記念財団理事)は、国の発展の原動力は都市であるという考えだ。
 ①第三次産業の従事者は都市に住む。富は都市で生まれる。国の力は都市の力と同じである。②都市活性化のための規制緩和、競争促進、投資の選択と集中が必要である。③均衡ある発展という発想は世界に誇れる崇高な理念にとどめ、東京のような大都市に稼がせ、その富を地方に分配する発想を持ったほうがいい。④地方の人は東京を「利用してやれ」くらいに割り切り、都市が稼がないと農村が維持できないことを知るべきである。
 具体的には世界の都市間競争に負けないよう、建物の容積率を上げる、スラム化を防ぐ。東京の文化・国際交通アクセス・宿泊施設の機能が弱いので強化する、というもの。
 (2)一方の内田樹教授(神戸女学院、合気道場主)は、グローバリゼーションではなく、ローカリゼーション(地域化)を主張する。地域共同体や人間のネットワークが基礎にあるべきだという。世代を貫いて続く三つの核である、教育(学芸や技能の世代間の手渡し)、医療(人生を全体としてケア)、伝統文化の継承(地域の言語・祭礼など)により、共同体が物語をもつことが必要だと説く。
 (3)上にみるように、都市集中論の主張はハッキリしており、大都市地域においてもっと規制をゆるめて投資を促進し、集中を強化せよということである。反集中論の方の主張は、これに反してやや漠然としたところがある。強力なよい手段が見つからないから、心情的な主張になるのであろうか。
 この特集は今年のロンドン五輪などを念頭においてのことのようだが、今もなおロンドンやパリが栄光を残しているのは、産業集中によるというよりは、おもに絶対王政や帝国主義時代の歴史的遺産によるものであり、現在これらの世界的な大都市は移民の流入と観光客の集合地となっている。一方、アジア各国をはじめとする新興国の都市集中は別の論理で動いている。 

(2012.1.9記)