西川一誠後援会サイト

イッセイエッセイ詳細

イッセイエッセイ

598号 長い目から見て必要なもの(高速道路、新幹線について)

2011年03月11日(金)

 「もう、新しい高速道路や新幹線はいらない」という声が、大都市の住民を中心に出ているが、それは2つの意味で大きな間違いである。

 第一に、国際競争力の観点に立っての問題である。その国の経済力は、ヒトやモノの輸送力に比例している。アジアの新興国経済は大きく発展し、現実的なグローバル大競争の時代に入った。アジア地域の高速交通網が年々大きなスピードで伸び、これらの国々の経済力を引き上げている。

 昨年10月に観光等のセールスのため台湾を訪問した。台北・高雄間には新幹線が縦貫しており、これは1999年に起工し2007年に開通している(345kmをノンストップで90分)。台湾新幹線のシステムは日本のものだから、車内は日本そのもの、車窓風景もまるで日本にいるような雰囲気だ。

 また中国では、2020年までに1万6千kmの鉄道高速ネットワークを整備しようと、「4縦4横計画」を掲げ集中投資を続行している。すでに開通・着工した区間は6千kmを超え、日本の新幹線の延長距離(2千2百km)の約3倍になってしまった。
 また、中国の高速道路は、二十年前にはたった5百kmしかなかった。今では5万kmと100倍になっている。その頃はまだ、「中国は遅れている」とみんな言っていた。一方、日本ではこの二十年間で5千kmから8千km弱にしか伸びていない。

 中国の新幹線や高速道路が速くて便利になるに従い、外国資本もだんだん内陸部に向って進出している。日本がアジアの国々に対し優位性を保っていたのは一昔前の話である。今では情況が激変したことを十分わきまえ、自らの国土に必要な投資を最優先するのが政府の責務である。

 第二に、高速交通ネットワークの整備は、とりもなおさず地方経済の活性化に直結するということである。
 北陸新幹線を最終的に東海道新幹線に繋げることにより、日本列島の真ん中に新幹線ループが出来上がる。これら中央日本の地域は日本の東西南北の結ばれる場所にあるので、その効果は他の地域以上に面的に大きく広がるはずである。将来、新幹線のレールに貨物の物流機能も担わすことが可能ならば、日本海側の敦賀港に新しい人流・物流のネットワークの基盤が整うだろうから、国際的な福井・北陸のポジションを高めていく上での大きな戦略にもなる。

 このように高速交通インフラは、国際的な競争にも国内の活性化にも強力な手段となる。日本の国土全体をみると、高速道路や新幹線が途中で繋がっていない「ミッシングリンク」が、まだまだ残っている。現在の政府は、地方のことに関心を向ける政策を等閑視し、国民への一般的なサービス給付の制度改変に関心を向けすぎている。この際、是非とも大きな国土政策の構想を持って、これから5年ないし10年のうちにミッシングリンクを解消してしまうことが先決である。

 グローバル時代に、地方の経済を立て直し、日本の活力をいかに高めるべきかを考えるとき、「コンクリートは要らない」と簡単には言えない。ましてや「大都市のコンクリートはよいが、地方のコンクリートはダメだ」とは、考えてもらいたくない。

(’11.2.1初記)