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イッセイエッセイ

591号 曙覧・慶永

2010年11月08日(月)

  「今日の支配者たちのなかに、その見識の慶永に匹敵する者が果たして何人居るだろうか。また今日の学者詩人のなかに、金力に屈せざること曙覧の如き人物が何人居るだろうか」

  「加藤周一自選集10 1999―2008」(岩波書店 2010年9月)の頁をぱらぱら捲っていると、橘曙覧という文字が目に入った。
  表題をみると「国学の明暗」という4頁余の文章であり、曙覧の全歌集を読んだときの感想が述べられている。極めて短い評伝のような形式をとっている。その中での重要な箇所は、「この国学者・歌人の裡に、私は徳川時代における個人主義的な意志の活動を確認する」という指摘であろう。
  そして冒頭に掲げた引用部分は、福井藩のこの曙覧や松平慶永(別のところに橋本左内のことも述べられている)に対する、著者の心をこめた評価ではないかと思うのである。

(2010.11.4記)