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イッセイエッセイ

1308号 辞書について

2018年04月12日(木)

 動詞で最も使われる頻度が高い語は、高い順に、be動詞(人称により形も変る)、have、doの順である。これらは動詞であり助動詞でもあり、「多機能動詞」と呼んでよい動詞である。実際の会話や文章の中にはたくさん使われることになる。
 be動詞の後につながる品詞は、名詞、形容詞、副詞、不定詞、現在分詞、過去分詞、動名詞、名詞句、節など何んでもがあり、ただ繋げる桟をもっている。
 しかし、英和辞典においてこれらの語の説明の頁数が最も多いかというと意外なことにそうではないのである。その動詞が実際によく使われるということと、辞書の中にある単語が、用例や説明を多く要すことは、別の事柄であるためであろう。
 ちなみに英和辞書において最もスペースをとっている動詞はgetである。この動詞が、上記の多機能動詞ほどに重要とは言えないはずであるが、そういう結果になってくる。
 英語の辞書では、getなど動詞の用例の多様さは前置詞などと結びついて熟語の形をとるので動詞ごとにすべて説明がなされる。しかし日本語の動詞は複合動詞(「書き加える」etc)となるので一語ごとに国語辞典では説明され、基本となる「書く」の項は十行もみない説明に終る。
 ここで教えられることは、英和辞典にのっている各単語の説明の分量と実用度との間にギャップがあるということである。単語の用例の広さと深さには違いがあって、熟語(イデオム)の多様さの方は説明せざるをえず網羅して説明もしやすいが、辞典として単語の使い道の強力さの説明には限界があるのである。そこに辞書作りの難しさが潜んでいることになる。
 「広辞苑」には約24万語が収録されている。日本語の語彙数は多くて英語の3倍以上あるという説もあり、外国人にとっては日本語の敬語や漢字の難しさ、また言葉の奥深さはすこぶる驚異を感じさせることとなるのであろう。

(2018.4.2 記)