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イッセイエッセイ

1294号 恐竜雑談(1)

2018年03月16日(金)

 一皮も二皮もむけるという譬えがある。人間的にすっかり以前と変わって進歩した状態を表わす言葉である。いわゆる脱皮に近い意味になる。
 しかし人間は本来の意味で脱皮できる生き物ではない。これができるのはある特定の範囲の動物であり、昆虫や蟹、エビ、クモそのほか色んな線虫のような類の動物までいる。
 この脱皮システム(外骨格脱皮)は、動物が非常に多様化した5億年以上前のカンブリア紀に出現した出来事だそうで、動物の進化の過程でただ一回の遺伝子の変異によって生じたとのことである(「大学生物学の教科書」第4巻<近代生物学>講談社ブルーバックス 2014年 253頁から)
 動物を系統樹から見た場合、いま述べたように、人間は脱皮する種類の動物ではなく、進化の途上で既に別系統の脊椎動物として脱皮動物とは枝分かれをしてしまっている。
 この脊椎動物は魚類などと分岐した後さらに両生類と枝分れして羊膜類が生まれ、石炭紀(3.59億~2.97億年前)にこの羊膜類が爬虫類と哺乳類にさらに分岐している(同書303頁)
 なお爬虫類のうちカメやヘビと分かれたワニ類や恐竜は主竜類と呼ばれ、「恐竜は1億5000万年間にわたって地上を支配した。恐竜グループは一種のみ、鳥類の祖先種だけが白亜紀と第三紀のあいだの大絶滅を免れることができた。中世代では1m以上の陸生動物はほとんど恐竜であった。多くは機敏で速く走ることができた。」(同書307頁)
 「鳥類の現存種は一万種程度とされ、その大きさも150kgのダチョウから2gのハチドリまでさまざまである。」(同書310頁)
 われわれがカラスやスズメと向き合うとき、人間が約3億年前に分岐した爬虫類と哺乳類からなるグループの子孫として、大絶滅を互いに生き延びた者同志として認識し合わなければならないことになる。
 NHKのBS番組に「世界ふれあい街歩き」というのがある。最近放映されたものを今日ビデオで見たのであるが、ポーランドのグダニスク(独名ダンチヒ)という街のカメラ紀行である。バルト海に面し良港として栄えたところであり、宝石の琥珀の産地である。この半透明のアメ色の琥珀の中には、昆虫がねばねばした樹脂にそのまま閉じ込められ化石として保存されている。番組でも造船の仕事を辞めて細工職人になった男性が出てくる。彼は自分がいま磨いている琥珀が4500万年前にできた松脂の化石だと説明していた。地質年代的には恐竜が死滅してから2千年ほど後の第三期の時代になるが、映画「ジュラシックパーク」の発端は、恐竜の血を吸った昆虫(蚊)の琥珀の化石から恐竜のDNAを取り出すことによって騒動が起こるのである。

(2018.2.17 記)