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イッセイエッセイ

1288号 ダイノ争論(1)―福井の恐竜から

2018年03月13日(火)

 「ニッポンの恐竜」笹沢教一著(集英社新書)2009年
 読売新聞社科学部の記者を経験した著者が、日本のキョウリュウの発掘物語を書いたもの。キョウリュウが発見、発掘、研究、展示されるまでの実際に起こった物語が書いてある。
 第6章は「手取層群と平成の恐竜たち」であり、恐竜博物館ができるまでの物語がわかる。なおその他の各章に書かれている発掘物語は省略する。
 「福井県は、化石壁のある白山市と県境で接する勝山市側で、県予算を投じた初の大規模発掘に着手した。それまで化石探しに自治体が積極的に予算を拠出するケースはまずなかった。のちに、この地に多大な“恐竜効果”が得られたことを考えれば、重要な判断だったと言える。福井県の第一次発掘が始まったのは、1989年(平成元)年。」
 ここから、福井県での恐竜発掘史の本格化が三十年を経ていること、またその特異的な先進性を改めて知ることになる。
 さらに勝山のことを次のように紹介している。
 「既に割った岩石をハンマーで『もう一割』して、小さな化石片が隠れていないか確かめるという慎重な姿勢で臨んでいるのだ。こうした努力が実を結び、ここからは恐竜だけでなく、哺乳類、爬虫類、両生類のそれぞれで貴重な化石が発見されたのだという。大きな骨がまとまって埋もれていることが珍しくない北米などの大化石産地ならば、ここまで細かくやることはまずない。条件の悪さを跳ね返す、ある種、日本的ともいえる努力と工夫が成果につながっているのである。」
 これまでをふり返るなら、5年間に恐竜一体ずつが記載、研究されてきていることになるが、これからの勝山フィールドでの見通しや、国内外の他の発見、発掘地点との関連づけが課題となるであろう。
 高速道工事において手取層群とぶつかることが予測されており、この偶然の機会が発見につながるのか否かに注意しなければならない。

(2017.12.24 記)