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イッセイエッセイ

1164号 在来線・新幹線の車中風景

2016年07月02日(土)

 じつに久し振りに北陸線の金沢行きの下り線(ダイナスター号、これははじめて)に乗った。北上する方向の列車に乗ることは元来ほとんどなく、おそらくこの20年間でも数回であろう。
 新緑も終り、田は青苗田となり、栗の花が家々の周りに白く見える。福井の方から石川県に入っても景色はそう変ることはなく、しいて言えば屋根瓦に艶のある赤銅色が現われること位だろう。あわら温泉と加賀温泉では多少の乗客がある。小松ではそれよりも多く、列車は自由席(二両)がほぼ席が満席になってしまった。
 この文章を、紙の端に書いていたのであるが、小松駅で停車している時に「すみません」と二度ほど男性の声がして、隣席に通勤客らしい人が坐った。しかし切符をとり出して眺めているので毎日の利用客ではないらしい、スマホも動かし始めた。いまは時間がちょうど8時15分。
 小松と金沢の間はもう市街地がつづいて、能美市立病院という看板が見える。あとは工業地帯、小舞子という記憶のない駅名の看板を過ぎる。そして手取川を渡るとき、小舟がたくさん係留されている。次が美川。
 駅員はすこぶる真面目であり、これでもう検札に四回やって来ている。間もなく、この沿線の踏切の装置のことが鮮なのが気になり、なぜか新しく黒に黄のペンキが光って見え、「黄」麗なのである。車内の通路の向こうの席では、耳にイヤホンを付けたまま、自分の顔ほどの大きさの鏡をとり出して、マユを直す若い女性がいて、その動かす手の爪の色は指ごとにすべてちがうのである。
 ここで金沢に着いた。紙に書くスペースがほとんど無くなってしまった(中略)。新幹線に乗り換えて富山に入る。福井、石川の景色とは異なり、河原や沿道の新緑は未だ柔らかな緑色が残り、印象も弱く感じる。おそらく10日ほど季節の進み具合が遅れているということらしく、気温差があるのであろうと思われる。新幹線の両側は防音の壁があり、4種類ほどに高さの差があるのだが一番低いフェンスのほかは近くの景色がほとんど見えないのは残念である(後略)。

(2016.6.8同日 記)