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イッセイエッセイ

1162号 雑想(17)

2016年06月15日(水)

(お酒はぬるめ)
 歌手の八代亜紀さんが月給7000円のバスガイドをやめて、東京暮しをはじめ、「美人喫茶」の店員募集の貼り紙に応じた。そこにはピアノも置いてあった。オーナーから求められて歌った後、すぐに専属になってくれと言われ、給料をいくら欲しいかと聞かれる。思わず1万円位を申出たら言いすぎかと迷っていると、では月10万円でお願いすると先方から言われたとのこと。そして「東京ってすごい所だと、びっくしりした」と回顧する。(『時代の証言者―女ごころを歌う』第8回 2016.5.21(土)読売新聞)
 ちなみにその頃の1966年(昭和41年)の大卒国家公務員の初任給は約2万3000円、また1968年での大卒初任給は約3万円(賃金構造基本統計調査第1回)だったと、新聞に解説が付記されている。
 それから間もなく銀座クラブにスカウトされ、月給はさらに2倍になったようだ(その間、デビューしたいなら200万円の金が必要とレコード会社のディレクターから要求されて断る)。
 これを現時点に当てはめても、東京と地方とのモノの金目の差は十倍くらいあるというのは、今日の地価をみても実感に合う。また芸能界の収入が大であることは、才能のあやしさの今日においてもなお、存在している社会性をもった問題点も考えさせられる。

(国語の先生)
 2016.5.12(木)の「交遊抄」(日経新聞)には、津田純嗣会長(安川電機)が、約50年前に進学校の母校(福岡県立修猷館)で教わった国語の名物先生を回顧した寄稿が出ている。詩人であり、「現代文」以外にも古典や漢文にも精通していた若い国語教師が鋭利な解釈、掘り下げた答えを生徒に要求し、的を外すと「君の教科書は私のとは違うようですね」と容赦ない言葉が飛んできたという。昔の話しではあるが高校の教師はかくありたい、ということになるだろう。

(ご当地ソング)
 「ご当地ソングランキング」福井編というのが、産経新聞の「ふるさと」という紙面に載っている(2016.5.15日曜)。
 1位は「東尋坊」(水森かおり)、2位「ふるさと」(五木ひろし)、3位「越前岬」(川中美幸)、4位「雪中花」(伍代夏子)、5位「越前恋歌」(香西かおり)、6位「若狭の宿」(牧村三枝子)、7位「三国節」(民謡)、8位「越前竹舞い」(石川さゆり)、9位「私が生まれて育ったところ」(野路由紀子)、10位「居酒屋『敦賀』」(香西かおり)(合田道人著『あなたの街のご当地ソング ザ・ベストテン!』をもとに作成)
 なお、「景勝地として知られる東尋坊や越前岬、越前水仙の別名・雪中花、250年以上の歴史を誇る民謡など郷土色も豊か。だが、7位以外は見事に演歌勢、それも大物女性歌手が圧倒するランキングになった。“黒一点”の五木は美浜町出身。今年も故郷を歌った新曲『九頭竜川』で福井をアピールしている」という解説が加えられている。

(地獄に神様、チーム福井)
 2016年5月11日(水)の朝日新聞(『声』オピニオン&フォーラム)に、以下のような投書記事が載った。これは、熊本地震で一人暮らしの母親の家が被害を受けたという宮尾益美さん(英会話講師、54歳)の投稿である。
 家は倒壊こそ免れたが家具は倒れ、窓ガラスは割れ、屋根は雨が漏り、何から手をつけていいのか途方に暮れていたところ、ボランティアの派遣が始まったことをテレビで知ったが、周囲の家々も危険な状態だったため来てもらえないだろうと諦めていたそうだ。
 それが5月3日の大雨、強風の中、20代~40代とみられる男性6人のボランティアが、余震が続き、道も隆起しているなかをやって来たのだ。その胸元に「チーム福井」と書かれた粘着テープを貼った彼らは、「福井から14時間かけて来ました」とにこやかに話しながら、午前10時から迎えのバスが来る午後2時半ごろまで、ガラスの破片や壊れた家具などをきれいに片付けてくれたのだという。
 最後に宮尾さんは、笑顔で親切な彼らに涙があふれ、「神様は見たことありませんが、私には皆さんが神様に見えました。ありがとうございました。本当に神様でした」という感謝の言葉で締めくくっている。

(2016.5.21 記)