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イッセイエッセイ

1149号 雑想(16)

2016年04月17日(日)

(書評<2016.4.3毎日新聞「今週の本棚」>から)
・人文資料のビッグデータ化とその利用(?)についてハーバード大学院生(言語進化論)のエレツ・エイデン、ジャン=バティースト・ミシェルの二人が書いた『カルチャロミクス』(草思社、阪本芳久訳)という本を海部宣男・名誉教授(国立天文台)が書評している。
 たとえば、いまやグーグル(Nグラム・ビューワー 2010年~ 日本語版なし)にキーワードを入力、検索すると、これに関して長期の経年的な出版物数の変化オリジナル・グラフが瞬時に画面に出現するというような類いの話である。そして本書はこの先端的技術の開発物語だそうである。
 日本独自でも小規模ながら類似のシステムを開発中であり、ためしに「幸福」をキーワードでやってみたところ、その戦後の三つの波がわかった。書籍や歴史資料のデジタル化が、人文科学に将来有効であるというのが著者の意見のようだ。

・ 「アメリカ排日運動と日米関係」
 著者・蓑原俊洋氏(日系四世の神戸大国際政治学者)は、当時の日本移民問題を中国問題と並んで日米開戦の遠因とみなす新しい解釈に立つ。戦前、共和党が排日運動の撤回ができなかったのは、大統領選に勝てないと判断したためという。
 「万一トランプ氏が大統領になっても対処できるよう、国民レベルで日米関係を深化させる努力が欠かせません。結局、あの国を動かすのは国民ですから」という今年の大統領選にも関係させてインタビュー発言と写真(インタビュー記事は、言葉使いや文脈に不明瞭なところあり)。

・ 「チェーホフ―七分の絶望と三分の希望」沼野充義著(講談社)。
 評者の劇作家・山崎正和はこの本の題名を念頭に「七分の共感と三分の憐憫」のチェーホフだったようだという。チェーホフのもつアンビヴァレンス(反対感情両立)は、彼が当時のあらゆる社会問題から目をそらさず、人生をありのままに見れば悲劇と滑稽があり、裏側からひとひねりした見方をし、韜晦と諧謔に身をかくして、ロシア文学の「最大限主義」の風潮に抗して、トルストイの肯定的、ドストエフスキーの否定的な人生描写と異なる見方をしたチェーホフだとする。小説は読むより他はない。

(読売新聞<2016.4.3 「時を重ねる」 くらし19面)>)
 英語教育について文部省(現文科省)の懇談会のメンバーになったときも、「英語はできるだけ早くから学ぶ方がいい」と言ってきたと、アントン・ウィッキーさん(75歳、タレント・英語教師・元スリランカ水産省研究員、日本人と結婚)

(空の時代)
 スマホ、デジタル時代の個人は、発信機と受信機からできている半有機トランデジタル反応体である。企業や自治体が情報発信力を高めるという奇妙な用語を使いだしてほぼ十年、クラウドや炎上化は、情報圏における文字どおり雲や煙のような振動、離合、循環などの諸現象の呼名にすぎないのだから、刻々の風向、空模様に一喜一憂など愚の骨頂。

(確かめる)
 何かをし終った毎にふり返ること、たとえば算数なら必ず検算をするとか、仕事ならあと片づけや後始末をすることはそれによってはじめて終ったことになるので大事である。
 というのは、これによって行ったことがはっきり役立つ結果となり、後の手数を少くするだけでなく、改めて仕上げた仕事や物の実際の意味や姿形を眺めることができるので、初め実行していた時には十分気づかなかったことが、よく分るようになるからである。

(2016.4.5 記)