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1127号 ニ元一次の不定方程式の整数解を求める(互除法) 92x+197y=1の整数解xとy(その2)

2016年03月19日(土)

q3.不定方程式(この項の末尾の「参考」をみる)の解法に、なぜ「互除法」を使うと便利なのか。それは1という数字を互いに素である元の二数の加減式に変換できるからである。

【例題】92x+197y=1の整数解を1つ求めよ。
(なお前述のように、92と197が絶対値においてより小さい数字であれば、人間の頭で直観的に組合せの解を1つくらいは見つけることは可能である。たとえば、3x+4y=1ならx=3、y=-2は解として見出せるだろう。)

 これを計算式で表すと、92x+197y=1が成り立つ92と197について、
   92と197の最大公約数をGと仮定すると、
   92=a×G、197=b×Gだから、
   92x+197y=1 から (a×G)x+(b×G)y=1 
                よって(ax+by)×G=1となる。
 上式の左辺がGの倍数のはずなので、右辺もGの倍数となる必要がある。
 しかし右辺は1であるから、92と197の最大公約数が1(互いに素)でなければ、この式は成立しないことがわかる。
 最大公約数G=1であるからこそax+by=1が成立し、92x+197y=1に戻って、92と197が互いに素であることがわかる。
 すなわち例題には、92と197は互いに素(最大公約数が1である)とは条件として明示されていないが、上記のように当然に含意されることになるので、条件になっていないかのように見えるだけである(条件に互いに素であると書くと、解く立場からはわかりやすいが、数学的には重複した余分なことを与件化することになる)。
 また互いに素でない数字の場合、6x+3y=1の整数解があるかといえば、2x+y=1/3と右辺が分数となって、有りえないことになる。
 だからして、例題ではこの92と197の二数の間において「互除法」を使うと、最後に公約数(G)として1が必ず出てくる(残ってくる)ことが約束されている。
 もし1を、92と197の加減の式で表わされれば、92と197だけを係数とする二項の式となり(邪魔な1という数字を消去できる)、他の余分な項がないA+B=0つまりA’=B’という形の式になるので、整数の答を求めるだけならば、じゅうぶんに解ける式が作れるという確信がえられることになる。
 あとは、互除法を用いて、
   197=92×2+13 ⇔    13=197-92×2 …①
   92=13×7+ 1  ⇔     1= 92-13×7 …②
 aとbの最大公約数を[a,b]で表すと、
   [92、197]=[92、13]=[13、1]=1であるから、
   92x+197y= 1 =92-13×7   (②式から)
           =92-(197-92×2)×7   (③式から)
 だから右辺の1を92と197を因数とする加減式がつくれる。
   92x+197y=92(1+7×2)-197×7 …③
   197(y+7)=92(15-x)
 よって15-x=197・k、y+7=92・k(kは整数とする)
   x=-197k+15、y=92k-7 …④
 したがって例題の不定方程式をみたすxとyの整数解の組合せは、以下の組合せとなり
   k=0、±1、±2、±3・・・
 x+yの一次関数の右下りの直線上に整数解が間隔をおいて無限に存在することになる。

(参考)不定方程式ax+by=1は、なぜ「不定」というのか。
 不定方程式とは、方程式の数よりも未知数(x、y、zなど)の数が多いものをいう。
 一般的に、「方程式の数=未知数の数」の場合は、解(x、y、zなどの値)が定まるが、「未知数の数>方程式の数」の場合は、解が定まらない。つまり「不定」とは「定まらず」である。

q4.「センター入試」における不定方程式

 今年(2016年1月)のセンター一次の[数学Ⅰ・A]の第4問(選択問題、配点20点)は、そのうち小問1が、上記の92x+197y=1をみたす整数x、yの組の中で、xの絶対値が最小の(x、y)はいくつか、という問題であった。
 ④から、k=0のとき、絶対値は最小となるから、答えは(x、y)=(15、-7)ということになる。
 また小問2は、92x+197y=10、つまり右辺だけが10倍になる等式をみたすx、yの組の中で、xの絶対値が最小の(x、y)はいくつかという問題であった(勿論(15×10、-7×10)も解の一つであるが)。
 これは、
   92x+197y=10=10×1=10{92×15-197×7} (③式から)
   92x+197y=92×10・15-197×10・7
   197(y+70)=92(150-x)
   150-x=197・k、y+70=92k (k=0、±1、±2・・・)
   x=-197k+150、y=92k-70
 xの絶対値が最小なのは、k=1のとき
 (x、y)=(-47、22)

 なお上記4において、はじめから<小問2>92x+197y=10の形でもし出題されていたら、なぜか難度は格段に上ったであろう。この10は他のどんな整数を登場させても答えが出ることになる。整数はすべて1の倍数であるから。

(2016.2.28~3.18 記)