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イッセイエッセイ

1117号 都市と畳屋

2016年02月16日(火)

 「たたむ」というのは日本語に独特な言葉だが、最近は「都市」もたたまれる対象になっているらしい。
 今日(2016.2.14)の読売新聞の書評欄には、饗庭伸あいばしん・首都大学准教授が書かれた「都市をたたむ」(花伝社)という都市計画論を、牧原出教授(東大、政治学者)が書評している。
 この本の要点は書評によれば、人口減の中で都市を維持するために無理に生活するのではなく、住民が主体的に都市を使いながら人口減に合わせて縮小させるべき(つまり標語は「たたむ」)ということにあるようだ。
 人口増加は予測を超える急速な拡大であったが、人口減はゆっくりと進む現象であり確実に将来人口を予測でき、計画による制御はより容易である。これまで前提としてきた人口増の発想に無意識にとらわれることなく、また絶望におちいることなく対応すべきである。中心地でも郊外でもそれぞれの事情で、いつの間にかすかすかの空地になる「スポンジ化」が起るわけだから、コンパクトシティのような中心地に集中的にインフラ投資をする都市計画ではなく、地区ごとにどのような機能が必要かを考え、空いたスペースを再利用するような関係者の繊細な町づくりが、町を衰退から成熟につなげる手法なのではないか、と主張しているようである。したがってこの「たたむ」というのは、店じまいでもなく、逆戻りでもなく、場末化でもなく、暫時休憩でもなく、適密適疎ということか。

(2016.2.14 記)