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イッセイエッセイ

1079号 町の印象

2015年11月15日(日)

 高速道路のやや遠くから、市街地の建物が白く集まった風景をながめるとき、その町が実際どんな街なのか知ってみたいという気持を起こすものだ。
 そして実際に街に入って身近に見ると、地方の駅前の静かな様子・バイパス、コンビニ、店々の看板など、具体の個別的な印象が生じて来る。その結果、どの町もそんなに変るものではなく、自分たちが日頃見馴れている鯖江や武生の街を想いうかべながら、互いの大きさや賑やかさの比較をあれこれ身びいきしながら感じ取ろうとする。
 ひと巡りして街を出て、郊外の橋を渡ってインターチェンジに戻り、再びその都市の遠景を高速道路からふり返るとき、遠くの山並やわずかに見える港と一体となった景色を、最初と同じように一瞥することになる。そして街そのものが、遠くから眺めたときの印象とはずいぶん異なってごく普通の街であったことを知る。しかしそうではあっても、今度はこの町のことがわかったような懐かしい気分を抱いていることに気づく。
 すべて知らないものを遠くから眺めるとき、それがただの或る地方都市であっても、何か望ましい気持を無条件に吾々が抱くのは、一体どういう理由からなのだろうか。

(2015.9.27 紀州の或る町で 記)