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イッセイエッセイ

1075号 GDP

2015年10月18日(日)

 日本経済新聞(2015年9月21日付)に「GDP統計、実態下回る?」という記事が出ているのが目に止まった。丁度読んでいるGDPに関する本の影響かとも思う。
 企業業績が好調なのに、経済成長率はマイナスに沈む。そんな経済のチグハグ振りに専門家も首をひねる、という記事である。原因はGDP(国内総生産)の統計が実態よりも小さいのではないか、という疑問にたどり着くというのである。
 一例として、GDPの積算に使う「家計消費状況調査」(総務省)においてネット取引は4.3兆だが、経産省が企業から聞取りで調査する統計によるとこれが12.8兆(2014年)となり、桁が違ってくると指摘する。前者の調査対象が、アンケートの手間から専業主婦の対象世帯が多いことによる数値差ではないかとている。またインバウンド(訪日外国人旅行客の消費、これは輸出とみなされ国内消費から差引く)が、家計調査の消費額に対しては過大に差引かれているのではないかという問題もあるようだ。
 つまり同紙の解説では、オンラインサービスなど新産業の統計が未整備であり、経済活動として十分とらえられていない問題があること(中村洋一・法政大教授)、新しいモノやサービスを反映したGDP試算では、政府発表の-0.9%(2014年)に対し、実際のGDPは+0.6%になるのではないかということ(BNPパリバ証券・河野龍太郎氏)、など問題部分を指摘しているのである。
 そのほか、季節ごとの変動をならす「調整率」の違いも歪みを生み、例えば米国のGDP速報(2015年の1-3月期)が公表値は年率0.2%に対し、実際は1.8%ではないかとの試算(米・サンフランシスコ連銀)もある。
 さらに根本の問題として、GDPを作成する基準を日本は5年ごとに改定しているが、米国では産業構造の変化を四半期ごとに反映させているという。なお日本の次回GDP改定は2016年ということであり、国際基準(2008年)も取り入れ、企業の研究開発投資をGDPに計上して精度を高めることを柱とするようだ。
 こうした記事から察するに、GDPの規模や精度は日本もふくめ、各国政府においては一種の暗黙的情報であるところがあり、GDPを国民に向けて政治手段に使おうとしながら、実際は逆にふり回されるところがみえるのである。

(2015.9.23 記)