西川一誠後援会サイト

イッセイエッセイ詳細

イッセイエッセイ

1070号 日本語と英語

2015年10月14日(水)

 英語で<printer>という単語に会ったとき、日本語のわれわれは、英語の意味としてどんなことを想像するか。最近はパソコンやIT用語が氾濫しているので、まず「プリンター」を思い浮べるであろう。しかしその他は単語の意味として想像しにくい。
 英和辞典を見るとわかるのだがprinterの項には、印刷に関するこの言葉の意味の広がりが順々に説明されている。まず1つのグループとして「印刷工」(働く人)という意味、そして「印刷業者」(経営者)、「印刷所」(場所)というようにこの単語のベン図の範囲が広がっていく。そしてもう1つの次の大きな意味として、言葉としては範囲が逆に縮小化するのだが、道具としての「印刷機」があり、そして「プリンター(印字機)」に至るのである。
 このように1つの語彙<printer>はかなり巾広い言葉であり、辞書の中では用例がきれいに円域を描きながら説明されている。こうした英単語の意味の範囲に想像が向けられない場合は、意味を十分にくみ取れず誤解に落ちいることになる。
 さて日本語では、printerにおおむね相当するような1つの日本語を便利に用意することができない。どうしても「印刷」という語を基本にして、これに漢字を付加することにより言葉の範囲が大体重なることになる。
 中級crossword puzzleの問題の4文字に対し、<printer’s reversal>というヒントがあった。解答の方を前もって覗いたところ、相当する4文字はSTET―校正前に戻すという指示語、印刷用語<イキ>と同類の略語―だと知る。ここでのprinterの意味が上述のどれなのかいま一つおぼつかないのだが、reversalが反転、撤回の意味であり、STET(イキ)になるらしいのである。STETは使用頻度が2万語から外れるようなあまり使われない間投詞である。

(2015.9.23 記)