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1069号 「ふるさと納税」の見返り

2015年09月22日(火)

 2015年8月8日付の朝日新聞(be)には、「そそられる『ふるさと納税返礼品』」という特集が載っている。福井県が提唱して始まった「ふるさと納税」制度ではあるが、この記事によれば、利用者は約13万4千人余(2013年)となり、導入当時(2008年)の約4倍、寄付総額は約2倍の142億円余に広がりを見せていると報じている(総務省調べを用いた数字)。
 特にこの記事では、最近話題になっている返礼品のことをテーマにしている。「ふるさと納税」が知られるようになったのは良いのだが、世情を反映していつの間にか市場主義がまんえんし、各地からの返礼品の紹介サイトだとか、攻略本などが続々とその心子知らずで作られている。その中の1つかもしれないのだが、運営会社「ふるさとチョイス」というところによれば、約1200自治体で3万点が登録(7月現在)されているという記事である。制度利用が増えるにともない自治体間の競争が過熱化し、寄付の返礼品が年々豪華になっているのである。この特集を読むまでもないことだが、「ふるさと納税」の利用拡大の反面として、消費目当ての風潮が強まり、見返りの増加問題が起っているのである。

 しかしこの新聞記事は、そうした是非を主たる観点とした種類のものではない。読者が求める返礼品をある程度認め、そうした興味や関心に応えながら、これからの好ましい方向についてもあわせて報じているのである(水戸部六美記者)。
 そして行なって欲しい返礼品について、アンケート結果が紹介されている。そのランキングは上位から、牛肉、米、宿泊券、カニ、モモ、ハム・ソーセージ、食事券、メロン・スイカ、サクランボ・ビワ、リンゴ・ナシの順に並び、上位には普段には手が出ない特産品が並んでいるという(回答者1565人、男性59%、女性41%)。
 ちなみに寄付の理由については、「故郷や応援したい自治体への協力」、もう一つは「返礼品目当て」に分かれる結果になっていると書いている。そして、後者の場合は「牛肉やその地域の旬の食材が魅力的」、「重い米が自宅に届く」など、高級品や生活必需品に惹かれた人たちもいると書かれている。
 そして「ふるさと納税」制度のあるべき姿についての調査では、「住んでいる自治体に納税すべき」、「通販のように扱われることに疑問を感じる」、「返礼品に税金が使われるのは納得できない」など、返礼品競争を疑問視する声も目立っている。

 すでに総務省が自治体に自粛要請を出し、その結果ゆきすぎた返礼品は減っているのが事実であろうが、本来の姿、つまり故郷や応援したい自治体に協力することについては、まだまだ成熟した段階にはなっていない。新聞記事では、「行き過ぎ、やり過ぎは禁物」、「無理せず独自の工夫」という言い方で、各地の好例、返礼品に工夫を凝らす自治体など、を紹介している。使途を明確にして寄付集めに成功、寄付者自身が好ましい使い途のプランを贈る、といった例である。「ふるさと納税」を盛り上げるために、各自治体の切磋琢磨は必要不可欠であろうが、この特集記事のしめくくりは、「無理のない範囲で各自治体が独自の工夫を凝らした返礼品を提供すると、納税する人も楽しいのではないか」という男性(東京)の声を最後の〆にしている。
 すでに言ったようにこの朝日新聞の記事は、税制についてよくあるような報道の形ではなくて、「beランキング」という生活面、消費面からみた記事である。

「ふるさと納税」についての世の中の考え方は、今だんだん落ち着くべき先に向いつつあるように思うが、この制度の提唱県として、「ふるさと納税」を政策の手がかりに、人口減少に直面している列島の各地を行脚するような動きをしてもよいのではないかと考える。

(2015.8.13 記)( 〃 9.21 追記)