西川一誠後援会サイト

イッセイエッセイ詳細

イッセイエッセイ

1052号 新諸国物語(13)

2015年08月09日(日)

相乗り屋【インドネシア】
 ジャカルタでは、朝夕のラッシュ時に3人以上乗っている車のみが、主要大通りで通行を認められる規制が敷かれている。そこで、2人しか乗っていないため通行できない車に乗り込むのを商売とする「相乗り屋」(さっぱりとした姿で、ドライバに信頼を与える青年など)があちこちに立っている。1回100~300円が相場。30円のバスで元の場所にもどり又はじめる。若い労働者にあふれ何事もまず人の力で解決するインドネシアの物語(2014.5.8毎日新聞(8)「街角から」平野光芳記者)
 ある社会がルールを作り、それを守るための現象を個別にとらえると、人為的に無意味(?)な社会活動が発生しているという見方になる。しかし、より広く眺めれば、社会活動全体がこうした矛盾している事象の複合体ではないかと思えるところあり。

米でチップ不要論【アメリカ】
 チップを受け取ることができる職種では、チップは平均的な接客係の収入の半分程度を占めている。重要な収入源となっているが、最低賃金引き上げの動きも絡み、チップへの賛否の議論も活発化している。長年の慣行の見直しが広がるかどうか、米国では注目を集めている。(2014.5.11読売新聞(9)「経済地球便」安江邦彦記者)

 チップなどという観念は、日本と外国の経済活動を考えるとき抜け落ちる部分であり、他国の租税制度や所得問題を考えるとき比較を見誤るもとになる。チップは国民総生産として統計上あらわれるのかどうか。その国の国民所得を表面的に下げて見せる地下経済(という用語がある)などは、日本には原則的に皆無であり、この種の習慣は個人間の契約を重視する社会の産物か、空席のあるレストランでも受付の行列ができる(米国)のは、チップ制度のためか。

取り締まりの様子を録画【イギリス】
 ロンドン警視庁では、小型カメラを警官の防犯ベストに装着させ、警官が批判を受けても、明確な証拠を示して反論できるよう、取り締まりの様子を録画する実験を始めた。これは容疑者が警官に暴力的になることを防止する効果も期待されているという(容疑者射殺事件に暴動が起きている)。(2014.5.12毎日新聞(6))
 永井荷風の「濹東綺譚」を聴くと、昭和初めの「帝都」の「巡査」は、権限を行使しているように描かれている。今の日本の警察官に対し、英・米・独・仏などのそれを総合比較するならば、治安にとって意味のあることになるのであろう。

ITバブルで住宅価格が高騰【アメリカ】
 米国では現在(2014年5月)、1990年代後半につづく2度目のITバブル到来と言われている。シリコンバレー隣接のサンフランシスコでは、高所得のIT企業社員や起業家が集まるため、不動産市場が過熱。ITバブルを当て込む開発業者に、大家が物件を売却することにより、住民は退去を迫られておりIT企業への反感が高まり、デモ、社員通勤バスへの投石、労働市民団体による市、IT、バス会社に対し提訴が行われている。(2014.5.13毎日新聞(6)水野哲也記者)
 大家が物件を開発業者に自由に売却してしまうので、住民が退去を迫られるらしい。法律関係の執行が、日本より厳格かつ迅速的という大きな違いが背景にあるのだろう。

不健康食品 国連が警告
 国連は20日までに、高カロリーで栄養バランスが悪いジャンクフードなど不健康な食品について「地球規模で、肥満などたばこより大きな健康上の脅威となっている」(デシューター氏・国連特別報告者)と警告、たばこのように課税や広告取締の規制条約を急ぐよう各国に促した。(2014.5.22福井新聞(8))

尊厳死 割れる判断【フランス】
 フランスでは安楽死は法律上禁じられている。しかし「尊厳死法」により、医師は一定の条件を満たせば、治療を停止することができる。このことから、「死の是非」をめぐる家族間(妻と両親の対立例など)の訴訟合戦を引き起こす事態となり、尊厳死法の運用の難しさを露呈する。仏国務院(行政最高裁)の判断に対し、欧州人権裁判所が対立した延命判断を行っている。(2014.6.26読売新聞(9))

 日本では尊厳死法をめぐる法律がなく、自民党のプロジェクトチームが、法律をまとめ国会への提出が検討されたものの、見送りになったままである。鷗外の「高瀬舟」から現代のPEG処置の拒否など。

(2015.8.8 記)