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イッセイエッセイ

1003号 機内放送

2014年10月14日(火)

 朝8時の加越県境の上空から、東を眺めると山々が逆光の中にシルエットを連ね、遠景の高峯はいわば天空の岳である。
 遠くに三つの峰からなる高い山が、雲海を破って孤立して頭を出しているが、それが御嶽山かも。いちばん右側つまり南側の頂きに、小さく煙がかかっているように見える。山脈をこえ濃尾平野に移ろうとするところで、正面に富士山が雲を全体に上からかぶった形で見え初める。さらに飛行が進むと、御嶽山を南側から眺める位置にきて、雲ではなく煙りであることがはっきりする。海側から密集した鱗雲が富士山の辺りまで海岸の波のように白く寄せ来ており、それはまるで平地にうすく雪が降った景色のようにも感じる。さらにしばらくして富士山の稜線の一部が雲の間から見え、地形というより金属の黒い刃物のようである。そのとき富士山が見えるという機内放送あり、他の山についてのことではない。
 着陸体制に入るころ、機体が雲の層に接近して雲の上に飛行機の影が写り、機首の影の周りに丸い虹ができる。雲をくぐり抜けるとその先にそのまま今度は海上に機影が写る。それは鮫のような黒い形をして海上を走り、浮んでいる船のあたりをみるみる速く通り過ぎる。
 …今朝はこの秋一番の冷え込みとなったが、日中は気温が上がるので…と着陸後の機内放送である。

(2014.10.8 記)