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2009年
●8月
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418号 書感―「デモクラシー以後」E.トッド著
○人類学的差異の存在の重要性
  「フランス、アメリカ合衆国、イングランド、ドイツ、もしくは日本のような、同じような発展水準を見せる諸社会の間に、風俗習慣の差異が存続しているのはなぜかを説明するために、必ずやいつの日か、
となるであろう。これらの社会の特徴をなす出生率指数の多様性は、それだけでも、人類学的差異が常に存在するということ、農業段階に存在したように、
している」(277頁 8章 人類学的土台の極めて緩慢な変化)
  しかし、厳密に実証できぬことはあまり価値がないので、これからの歴史の推移を待って、人類学からのアプローチによる結論を出す必要があるとトッドは言う。

○経済システム・教育学歴システム・人類学的システムを区別して分析する必要性
  「こうした人類学的システムを正確に記述することはまだ不可能であるにしても、それが自律的で本源的であることは理解できる。説明変数を序列化してみる必要がある。
。」(277頁 同上)
  表層と深層に区分し、後者に注目してより根本的なところに近づこうとする考え方は、H.アーレントの政治哲学に似る。
  「。そのすぐ下には、教育上の階層組織とその動きによって規定される社会的下意識ともいうべきものが見出されるが、これは、を発揮する。大衆識字化は、社会に主義的下意識を付与し、民主制を招来した。今日では新たな教育上の階層組織が形成され、
主義的下意識を育む傾向を見せている。」(278頁 同上)
  トックヴィルの「アメリカのデモクラシー」が、民主主義の出現の原因には近づいたが、大衆識字化や家族形態がそれであることを取り逃したとトッドは言う(136頁、193頁参照)。
  「さらにその下に行くと、
している。このシステムは、過去に遡って、昔の家族構造を探ることによって把握することができるが、今日では拡散している。この人類学的システムは、変化することがあり得るのであり、その変化はである。」(278頁 同上)<傍点小生>
  自由へのイングランドの選好、自由と平等へのフランスの情熱、自由と平等の概念へのドイツの抵抗、自由の観念へのロシアや中国の抵抗、という定式を立てて、各国の風俗習慣システムからなぜそういう国民性が生じるのかを分析している。
  日本についてはほとんど言及がないが、「直系家族から派生した現代民主主義の完璧な姿を観察しようとするなら、日本に目を向ける必要がある。日本では戦後、1993年から1996年までの期間を例外として、自由民主党が与党であり、政権をめぐる闘争は、政権党の交代ではなく、自由民主党内の派閥抗争となって現われていると述べるのみであり、日本人を権威従順的な国民とみているようである(141頁参照)。


(‘09.8.9記)