
|
 |
| |
322号 分権の意味 |
政府の地方分権改革推進委員会は、「第一次勧告」を昨日(平成20年5月30日)提出した。「権限移譲」と表現されているいわゆる「分権」の意味を考える必要がある。自治体の「仕事」は新しい法律で次々増えており、また、今回の勧告でも「移譲」されて増えるのであるが、いつも「決定権限」や「実行財源」が見合って伴わないので、名実が伴わないのである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(分権の根拠)
「力が効率的に機能するためには、集中している必要があるが、権力は集中させたからといっても効率的にはならず、集中させてはならないのだ。権力がその生命を汲むさまざまな源泉が涸れてしまうと、全体の構造が無力になるのである。」
「権力というものの性質からして、権力が依拠している地域的な土台が切り崩されると、統一体の全体としての権力がもつ力も損なわれる。」
「力とは違って権力は、分割されるとさらに大きな力をもつようになるというのは真実であり、わたしはこのことを確信するものである。」
(以上ハンナ・アーレント『責任と判断』筑摩書房から「リトルロックについて考える」271頁)
(政治と有権者)
大都市圏における地方政治に対する支持率が一般に低下しているのは、政治家の業績だけの単なる問題でなく、住民の意思と政治とが乖離しはじめているという、民主政治からみて望ましくない状況を物語っていると見られる。
一方で、地方の政治が、今の国政が目指しているような強い党派性にもとづく政党政治(「政治改革」の結果生まれた)であるべきか、それとも政党にとらわれない「非党派政治」であるべきか。
地方自治体が、国政と同じ系列の下で党派政治化するということが果して、日本の地方政治にとってよいことだろうか。戦前の日本の地方政治がそうであったように、過度の政党性は、国から地方に対する集権化に直結することになるのではないか。しなくてもよい争いを地方政治にも共鳴的に起こさせることになる。地方の政治は地域における統合性のある住民のための実行型の政治であるから、党派性はみずから求めるべき性質のものではない。
|
|